投資をしていない人からしたら、「ヘッジファンド」はあまり馴染みのない存在でしょう。
投資信託は聞いたことがあるが、ヘッジファンドは聞いたことがなく、そもそも投資信託が何か分からないという人も多くいます。
投資信託は、ファンドと呼ばれることから、似たようなもの、同じようなものと認識している人もいることでしょう。
そこでここでは、ヘッジファンドと投資信託の違いについて解説していきます。
ヘッジファンドとは?
ヘッジファンドとは、いくつもの取引手法を使い、市場の上げ下げに関わらずに利益を追求することを目的としているファンドのことです。
ヘッジという言葉は、「避ける」という意味で、相場が下落したときの資産の目減りを避ける意味を持ちます。
一般の投資信託は、運用方法に制限があり、相場が一方向に動いた場合にのみ利益を取れる仕組みとなっているものが大半を占めます。
一方ヘッジファンドは、運用の自由度が高く、積極的な運用を行い、相場の上げ下げに関係なく利益を狙います。
簡単にまとめると、ヘッジファンドは「リスクヘッジしつつ積極的な運用をする」ということです。
投資信託とヘッジファンドの違いとは
ここからは、投資信託とヘッジファンドの違いについて解説していきます。
簡単にまとめると以下の図のようになります。
ヘッジファンド=絶対収益・投資信託=相対収益
投資信託は、公募ファンド、ヘッジファンドは私募ファンドです。
その違いについて解説していきます。
ヘッジファンドは、相場が上昇傾向にあろうが下降傾向にあろうが常にプラスの利益を目指します。
このことから「絶対収益」の運用と呼ばれています。
絶対収益は、必ず利益を出すという意味ではなく、どのような相場環境であっても利益を追求するという意味の言葉です。
また、ヘッジファンドが得意なのが「空売り」です。
空売りは、売りから入る注文のことです。
通常の買いと空売りを組み合わせた取引のことを「ロング・ショート戦略」と呼び、ヘッジファンドは運用資産の3割をこの取引方法で運用しています。
一方で、投資信託はベンチマークを上回ることを運用の目的としています。
ベンチマークとは、投資信託が運用の基準としてる指標のことです。
日本株に投資するファンドの場合は、日経平均株価やTOPIXなどがベンチマークとなります。
そのため、相場が下がっており、運用成績がマイナスになってしまっても、ベンチマークさえ上回っていれば、評価されます。
運用成績をベンチマークと比較することから「相対収益」と言われています。
運用規制と投資家層
ヘッジファンドは投資信託と比べて運用規制が少ないという特徴があります。
そのため、さまざまな投資手法で運用を行うことができます。
また、ヘッジファンドマネージャーは運用の開示を制限しています。
なぜなら、細かい情報を提供することで、オリジナルの投資戦略が漏洩してしまったり、コピーされる可能性を懸念しているからです。
そこでヘッジファンドは、投資家とマネージャーの利害を一致させるために、投資家に細かい情報を提示し監視させ、その代わりに成功報酬の設定、自己資本の投資をする仕組みとなっています。
一方で、投資信託は、多くの個人投資家からお金を集める公募ファンドです。
国の許可を得て運営しているため、投資信託の運用会社は厳しい規制の中で運用を行います。
また、ファンドマネージャーの目標は運用残高の増加となっています。
コスト面
つぎにコスト面を見ていきます。
投資信託のメインとなるコストは、購入時手数料と信託報酬です。
購入時手数料は、投信を買うときにかかるコストのことで、0~3%の手数料がかかります。
また、それに併せて信託報酬が年率1.5%前後徴収されます。
ヘッジファンドは、年間の管理手数料が運用残高の2%ほどで投信のコストとあまり差はありません。
しかし、それに併せて利益に対しての20%分の成功報酬がかかってきます。
成功報酬とは、運用成績を出したファンドマネージャーに支払う報酬のことです。
つまり、利益を出すことができればファンドマネージャーも収入を得られるということです。
まとめ
同じ「ファンド」と呼ばれるものですが、特徴はそれぞれ異なります。
また、ヘッジファンドは富裕層向けに作られたものであり、中々一般の人が投資することはできません。
中には、個人投資家でも運用ができるような基準を設けているヘッジファンドも存在します。
それぞれの特徴を理解し、投資先を選ぶように心がけましょう。