一般の個人投資家に向けたファンドが投資信託ですが、富裕層をターゲットに作られたのがヘッジファンドです。
富裕層向けに作られたヘッジファンドは、なぜ富裕層に選ばれ続けているのでしょうか。
ここでは、ヘッジファンドが富裕層に選ばれている3つの理由について解説していきます。
ヘッジファンドとは?
ヘッジファンドは、1949年にアメリカで誕生しました。
「アルフレッド・W・ジョーンズ氏」が「ロングポジション(買い)」と「ショートポジション(売り)」の両張りをすることで、相場が上がったとしても下がったとしても損をしない運用を目指す投資手法を考案したのが始まりとされています。
ヘッジファンドの「ヘッジ(hedge)」とは、リスクを回避するという意味を持っており、元々リスクコントロールをすることで投資家のお金を守ることを目的としていました。
しかし、いつの間にかヘッジファンドはハイリスク・ハイリターンの投資対象となっていきました。
2020年4月末の運用残高は2兆655億ドル(約220兆円)を記録しました。
ファンドの規模によって運用残高は異なりますが、500万ドル~5億ドルとファンドの大小で金額は大きく変わります。
資産残高が大きければ大きいほど、運用が難しくなるため、追加の募集をストップしているファンドも存在します。
一般の投資信託は、公募投信と呼ばれており、一般の個人投資家でも購入することができます。
一方でヘッジファンドは、私募投信と呼ばれており、機関投資家や富裕層をターゲットとしています。
しかし近年では、ヘッジファンドに投資をする「ファンド・オブ・ヘッジファンズ」や、ヘッジファンドに似たような運用を行っているヘッジファンド型の投信も現れるようになりました。
ヘッジファンドが富裕層に選ばれる3つの理由とは
ここからは、ヘッジファンドが富裕層に選ばれている3つの理由について解説していきます。
その理由は以下の3つです。
- 理由その①理想のアセットクラス
- 理由その②実績のあるファンドマネージャーが運用をする
- 理由その③リスクを抑えた運用を行う
それぞれ解説していきます。
理由その①理想のアセットクラス
アセットクラスとは、投資対象となる債券や株などの資産の種類や分類のことです。
アセットクラスごとにリターンとリスクの実績が異なります。
運用効率を測ることができる「シャープレシオ」は、リターンをリスクで割った数値で見ることができます。
この計算をすると、ヘッジファンドは1.6という数値となり、他の資産よりも高い数値となっています。
この数値が高いということは、ヘッジファンドは低リスク高リターンの実績を持ったアセットクラスだということを意味しています。
投資対象を実績で選ぶときには、「低リスク高リターン」のヘッジファンドへ投資することが合理的と言われています。
理由その②実績のあるファンドマネージャーが運用をする
投資信託を買うということは、ファンドマネージャーに資産運用を一任するということです。
しかし、日本で売られている投信で、インデックスに勝てる優秀なアクティブファンドはほとんどありません。
日本に優秀なファンドマネージャーがいない要因は、日本の証券会社のビジネスモデルによるものです。
証券会社は、販売手数料目当てに短期売買を顧客に勧める傾向があり、長期的に優れた運用実績を残せるような商品や運用会社が育たなかったことだと言われています。
海外に目を向けてみると、金融先進国では長期運用で優れた実績を出せる運用会社がいくつも存在します。
最大年収3500億円を稼いだ有名なファンドマネージャーである「デビット・テッパー氏」は、多くの資金を使って世界中からあらゆる情報を集め、さらなる運用収益を出しています。
ヘッジファンドを買うということは、世界最高峰のファンドマネージャーを自分の利益のために雇い、自身の資金を運用してもらうこととなります。
投資経験のある日本人の約7割の人が、運用通算成績がマイナスであると言われています。
実績のあるヘッジファンドであれば、過去10年間の平均年率リターンが10%以上を誇ります。
個人投資家の人で、この数値以上の実績を出したことがないのであれば、自己流で投資を行うよりも、優秀なファンドマネージャーに資産運用を任せる方がよっぽど資産効率が良くなります。
また、自分で運用するときには、情報集め、分析、トレーディングシステムへの設備投資などのあらゆるコストを省くことができます。
理由その③リスクを抑えた運用を行う
2008年に起きた世界同時株安は、当時推奨されていた国際分散投資ポートフォリオでも対応することができず、世界株で約42%の損失を記録しました。
その当時は、分散投資をしていれば損をしない、安心であると信じられていました。
しかし、実際に起きた金融危機によって株を始めとする不動産や鉱物、原油などのほぼすべてのアセットクラスが同時に下落しました。
その一方で、優良なヘッジファンドは、世界的な金融危機であるリーマンショックのような下落相場のときでも55%のリターンを出すことができています。
また、2020年3月に起きたコロナショックのときでも8.8%のプラスを記録しています。
いつ起きるのか分からない金融危機に備えた資産運用を行うことが理想的だと言えます。
世界の富裕層や機関投資家は、ポートフォリオの中に債券や株と異なる値動きをするアセットクラスを入れることが基本となっており、それに適しているのがヘッジファンドであり、ヘッジファンドを入れることにより、ポートフォリオ全体のリスクヘッジをしています。
まとめ
ヘッジファンドが富裕層に選ばれている理由は至ってシンプルです。
安定した実績を誇り、将来的にも安定した資産運用が実現可能な点が選ばれている理由と言えるでしょう。
また、優秀なファンドマネージャーに運用を任せることによって、自身の時間に余裕を持たせたり、運用自体のリスクヘッジも行えます。
ヘッジファンドに資産を投じることができる人にとっては、投資先の選択肢として有力な候補になり得るでしょう。