㊲福利厚生の充実か、給与の充実か

仕事を探している人であれば、給与と同じように、福利厚生が充実しているのかが気になる人も多いことでしょう。

たとえば、「給与は高くて福利厚生がほとんどない会社」、「給与は平均よりやや少ないが福利厚生がとても充実している会社」この2つの会社があったときに、あなたはどちらを選びますか?

会社にとっては、福利厚生を取り入れることに会社にお金を使うため、考え方的に福利厚生は給与の一環というように捉えますが、実際にお金をもらう立場からしたら、福利厚生と給与のバランスは、非常に気になることでしょう。

また、中には福利厚生はまったくいらないから、給料を高くしてほしいという人もいます。

そこで今回は、福利厚生という制度がなぜ存在しているのかを知るために、その歴史と経緯を知り、また、その種類とメリット・デメリットについてご紹介していきます。

福利厚生とは

まずは基本的なところを理解していきましょう。

福利厚生とは、会社が働いている人に対して提供する『給料とは別の報酬やサービス』のことです。

役割は主に2つあり

  • 「会社で働いている人とその家族が、健康で安定した生活を送れるようにすること」
  • 「働きやすい労働環境を整え、それぞれの持つ能力を発揮できるようにすること」

このことから分かるように、福利厚生には『経済的支援』と『モチベーションを高める』という2つの目的があります。

歴史と経緯

福利厚生の概念は、戦後から生まれたといわれています。

また、その時代とともに存在価値は変化していきました。

戦前では、労働力を確保するための手段として宿舎や食堂などを設立していました。

その後、高度経済成長期がやってきますが、その頃は持ち家の支援や寮を提供するなど、ライフスタイルに特化したものとして存在していました。

つぎに、バブルが崩壊した後には、今まで、会社が自前で福利厚生を管理や対応をしていましたが、バブルの崩壊をきっかけに、その福利厚生にかかるお金などのコスト削減が必要となり、自前ですべてを対応、管理することが難しくなりました。

主に人件費や福利厚生費の削減と、自社保有の保養施設や住宅、物件の維持、福利厚生に関わる事務関係の手続きなどを他社に依頼するようになり、それ専門の企業ができるなど、アウトソーシング(外注化)が進みました。

そして、近年では人材を確保するべく、従業員の生活の質を上げることを目的としている企業が多くなりました。

今の働く人たちは、福利厚生を含め、働くのに魅力的な環境であるかどうかを天秤にかけるようになるため、コスト削減にとらわれることなく、生活環境を整える取り組みをさまざましているのです。

例えば、旅行やレジャーなどの余暇の充実、育児や介護など、いろいろな場面で生活が豊かになるようなものが注目されています。

福利厚生になぜ力を入れるのか

では、なぜ近年の会社の多くが『福利厚生』に力を入れているのでしょうか。

その理由は大きく分けて2つあります。

それは【採用の強化】と【従業員の定着】です。

会社が長く続く、また業績を上げていきたいと考えたとき、必要となってくるのが優秀な人材の力です。

優秀な人材は、他社にヘッドハンティングをされたり、独立を後にしてしまう可能性はありますが、優秀な人材が育ち、長く会社にいてくれることは、会社にとって最重要事項といっても過言ではありません。

また、「会社選びをするときの決め手は?」というアンケートを取ると、給与のつぎに福利厚生が多く意見を集めました。

このことからも、ここの充実度は、会社にとってとても重要になってくることがわかります。

2種類の福利厚生

福利厚生には2つの種類があります。

それぞれご紹介していきます。

法定福利

法定福利は、法律で義務付けられたものを指します。

これは、どの会社にもある、最低限の制度であり、これが用意されていない場合、法律違反となってしまいます。

種類は6つあり、費用を負担する割合がそれぞれ決まっています。

健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料のこの3つは、会社と従業員で折半となります。

雇用保険料は、会社の負担が2/3で、従業員の負担が1/3となります。

労災保険料・子ども・子育て拠出金については、会社が全額負担をします。

またこのほかに、障害者雇用納付金、労働基準法に基づいた災害補償の費用を会社が負担することも含まれています。

法定外福利

法定外福利は、法律に関係なく会社ごとに設置できるもののことを指します。

その種類はとても豊富で、どんな制度を取り入れるのかは自由なのです。

どんなものを取り入れたとしても、働く人の経済的な支援とモチベーションを高めるためのものなので、会社独自の少し変わったユニークなものを取り入れているところもあり、時折話題にあがります。

これによって、他社との差別化を狙うことができるため、この内容を充実させることが、働く人の満足度を上げる、貴重な要素となってきます。

会社視点のメリットデメリット

ここまで、基本的な知識と種類についてお話してきました。

ではつぎに、会社から見たときのメリットとデメリットはどんなものがあるのかを説明していきます。

メリット

まずはメリットについてお話します。

①人材不足が解消される

就職する会社を探している人からすると、福利厚生が充実しているところは、とても魅力的に見えます。

大手の会社が人気が高いのは、それだけ業績が良いため、福利厚生にお金を使い、力を入れているからなのです。

また中小企業でも、福利厚生を整えた状態で求人募集をすれば、応募数が増えることが期待できます。

②節税になる

社員のために使ったお金は、福利厚生の経費として計上することが可能です。

そのため、会社にとっては課税対象になる所得が減り、法人税が安く済みます。

また、これは社員にとってもメリットがあります。

仮に福利厚生を作らずに、その分を給与として受けっとていた場合に、課税対象となる金額が上がってしまうため、払う量が増えます。

それを考えると、働く側も会社としても福利厚生は節税に繋がるのです。

③社員の健康管理が可能

ここ最近のニュースでも取り上げられることがある、働く人が労働環境を理由に、精神的な病気になってしまうという事案があります。

中には、過労死になってしまう人までいます。

このような事にならないように、会社としては、メンタルヘルスのカウンセリング施設やフィットネスジム、マッサージなどのリラクゼーションサービスを取り入れる会社も少なくありません。

このような施設のおかげで、社員の健康、メンタル面のケアなどを行うことができ、心身の健康を良くすることが期待できるでしょう。

デメリット

ではつぎに、デメリット

①コストがかかる

1番のデメリットと言えるのがコスト面です。

基本的に、社員のために導入するため、それにかかる費用は全て会社が負担します。

そのため、経営が厳しい中小企業のほとんどは、福利厚生を充実させることができないでいます。

大手の会社では、バラエティに富んだ福利厚生が話題になることもありますが、現実は大中小企業の大きさにに関わらず、法定外福利の削減が進んでいます。

②管理が大変

福利厚生は導入すればそこで終了、というわけではありません。

基本的にその管理は、人事部や財務部が行っています。

契約を交わしている施設とのやり取りや、それを利用している社員の把握など、通常の業務に加え、管理をしなくてはいけません。

そのため、担当している人の負担がかなり大きくなります。

③利用率の差が生まれ、不満を言う社員が出てくる

利用率に差が出てきてしまうのも、またデメリットのひとつと言えます。

それは、家族がいるのかどうか、ひとり暮らしをしているかどうかなどによって、利用率は変わってきます。

その利用率の違いから、不公平だと声を上げる人が現れてきます。

よくあるのが、会社にフィットネスジムを無料で使える制度があったとします。

そのとき、普段からジムをよく使っていた人は継続して利用ができるため、今までジムにお金を払っていた人はその分の出費を抑えることができます。

しかし、普段全くジムを使わないという人からすれば、その人は自分の給料から引かれたお金を使い、ジムと提携を結んでいることに不満を持つことでしょう。

全員が不満を抱えるわけではないですが、中にはそういう人からマイナスな声が上がります。

どの制度を入れていても、同じことが起きる可能性はあるため、会社によっては、導入する量を減らし、その分、社員のお給料を上げる会社も増えてきてはいます。

福利厚生か給料か

今回の記事を読んで、冒頭に質問をしたものに答えが出た人も中にはいることでしょう。

また、会社はさまざまな価値観を持った従業員を採用していくため、すべてに対応できるように多くの対策や福利厚生を取り入れる努力をしています。

なにを重視して、自分のライフスタイルを充実させていくのかは、あなたの判断ですべて変わります。

それが、福利厚生なのか給料なのか、今一度見つめなおしてもいいかもしれません。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA